INTERVIEW 03
「インパクトがある」「印象に残る」CMというのがクライアントからの要望でした。「無重力空間を舞台に」という強いアイデアを提案したところクライアントにインパクトを残すことができました。じゃあ、このアイデアをどうやって映像に落とし込んでいくかというところが挑戦でした。ハイスピードカメラPhantom(ファントム)というスーパースローな撮影ができる特殊なカメラと、カメラワークをコンピュータ制御した撮影ができるモーションコントロールのBOLT(ボルト)という機材を使った演出を考えました。
PMチーフに昇格し初めての案件でした。しかも規模は自分がこれまで携わった案件の中で一番大きいし、初めて使う機材ばかりだし、わからないことだらけ。大変だったけど、それをみんなでやりきったことは、すごくいい経験になりました。
僕にとってもキャリア史上最大の規模でした。撮影スタジオに入って「あっ!めちゃくちゃスタッフがいる!セットがデカい!!」って(笑)。もちろん事前に知識としてはあります。でも目の当たりにすると迫力!プレッシャーもありましたが、スタッフが同世代のチームだったので、みんなでいいものにするぞって気持ちのほうが強かったですね。この案件はプランナー兼ディレクターとして担当したので、先程のワークフローで言うと「企画」からプランナーとして、その後ディレクターとして「演出コンテ制作・スタッフィング」から引き続き関わりました。
撮影の準備から関わったプロジェクトでした。演出コンテを作る段階から「こういう演出がしたいんだけど技術的にどうかな?」と言った議論をしながら取り組めたことは、すごく達成感があったし楽しかったですね。撮影現場では、最終的なCGとの合成を見据えて、撮影方法をアドバイスしたり、CGでできることとできないことの判断をします。その分責任はあるんですけど、やりがいがあります。
このプロジェクトの肝は、撮影自体もそうですが、別々に撮影した素材を一枚の画に合成して仕上げるところ。ですから、合成の時にトラブルが起きないように、撮影するものの色や素材を選択する必要があります。例えば布が出てくるのですが、合成する時に不都合な色や素材というのがあり、そういった確認が無限にありました。撮影までの2~3ヶ月の準備期間中は、「時間が足りない!」と毎日走り続けていた記憶しかありません。でもオンラインエディターの波多野と、同世代チームという距離感だからこそ、気負うことなく疑問をすぐに投げることができた。福田もそうですが同世代っていうだけで、すごく心強かったです。
それは相談される側としてもメリットでした。撮影の相談や画作りに必要な素材とか、しょっちゅう電話がきます(笑)。もし僕が別会社のオンラインエディターだったら、こんなに迅速なやりとりはお互いできなかっただろうと想像します。
このようなポスプロ作業がヘビーな企画において、ほぼ社内のスタッフで構成できたことも、クオリティを高められた要素だと思います。
映像制作の各部署が寄り集まって、ベストな撮影方法を議論できたのは大きかったです。この撮影はかなり特殊なケースで前例もなく、通常よりも打ち合わせの回数を重ねました。撮り方を議論して、各自持ち帰りシミュレーション、次の会議でその結果を持ち寄って課題を整理、というのを通常の三倍は繰り返し、全員で作り上げていった企画だったと思います。
経験のないことをしているので、正解がわからない。そんな状況でもそれぞれの知見から、誰かが何かしらの方法を見つけてくれる。だから壁にぶち当たっても楽しいというか。そんな一つひとつの蓄積が成長につながっていくんだなって、この仕事で改めて思いました。
みんな基本姿勢が協力的。ちょうどコロナウイルスで第一回目の緊急事態宣言が出た時でもあったので、在宅スタッフも多い中、気軽にすぐに連絡を取り合える関係性というのは大きかったです。
納品が4Kという高解像度だったので、実際の作業はそれ以上のサイズで作っているんですね。そうするとデータ量がものすごく大きくなって、通常の機材やワークフローでは対応できない場面も多かった。それも+RingのCGチームが同じフロアにいるからこそやりきれたところはあります。
はい。同期のLINEグループでは、雑談から、仕事の「これどうすればいいの?あの人の連絡先教えて」という仕事の相談まで、なんでも助け合うカルチャーです。年に一度は同期全員で必ず飲みに行きます!
2020年の4月に緊急事態宣言が出た時は、同期のみんなで自宅からZoomを使った映像を作って、全社員にエールを送りました。撮影も延期やキャンセルが続き、何かを作りたい気持ちが溜まっていたし、映像制作の会社にいて色んな部署のプロが揃っている。だったら作ろうぜって。