INTERVIEW 05
だんぜん美術。視覚的なコミュニケーションにおいて美術が重要だと思ってるので、美術に関するコンテや指示はめっちゃ書く。スタッフへの説明も、美術を説明しながらだと上手く伝えることができるんです。「Hair album」のようなシンプルな設定だと、ライティングも美術枠として考えます。なにより美術が可愛いと単純にテンションが上がるんですよね。CMって、テレビを見ていると急に挟み込まれて、企業が言いたい事だけ言って去っていくというある意味強引なメディアなので、作る側としては楽しさやエンターテインメント性を提供したいなって思うんです。
僕はやっぱり会話劇の演出が好きなので、耳に心地いい会話のテンポをすごく考えます。CM監督が作る映画って、テンポが良くて観やすいんですよ。CMの会話劇は短い尺の中で物凄く速いテンポで進みますが、みんなちゃんと理解出来るように構成されていますよね。そういった経験値が映画制作にも活かされているんだと思うんです。それってすごいことだと思っていて、自分もその技術を身に付けたいです。そのために、必ず事前に自分で声を入れたVコン(ビデオコンテ)を作って検証して、言いづらいセリフや不自然なセリフはないかチェックします。
さまざまな映像を見るようにしています。ネットで拾ったりもするけど、社内で映像アーカイブが共有されているからよく使っています。
私も入社した時に諸先輩に言われて、今や習慣化してる。国内外の先人たちの知恵を知ることって本当に大事。新人のときは、知らないことだらけだったので、30秒とか15秒の短いCMになんでこんなに内容が詰まっているんだろうとか、何カットあるんだろうとか、いろいろ考えながら見ていました。
プランナーとディレクターを同時にやっていると、自分の好きなものが迷子になることがあるんです。プランナーは自分の好き嫌い関係なく、多方向にアンテナを張りながら解を出していくので、好きなこと思い出す作業が定期的に必要で。自分の好きなものをリスト化して見たり、好きな映画のシーンを繰り返し見たり。ディレクターにとっては、新しいものを吸収するのも大事ですけど、好きなものを明確に持つことが大事だと思います。そして、その“好き”に対して自信や覚悟を持たないといけない仕事なんだと思います。
将来笑ってる為にがんばってます。この仕事好きだけど、5年後も同じような状況なら辞めようかと考えてます。力がないのにずっといたくないというか。だからがんばる。
僕、ちっちゃい頃からCMが好きだったんですよ。15秒で楽しくなれるし、たまたま見たものに対していいなって思える。そんな僕が感じたようなことを今度は作り手として提供したいと思ってます。